目の前を白い光が覆った。
身近な、大切な人の命が消し飛んだ瞬間。

俺は機体ごと飛ばされた。
大切な人を討ったアイツはしばらく動かなかったが、すぐにレクイエムへ向かって行った。

目の前を、焦げた鉄くずが無数浮遊している。
頭がしびれて、何も考えられない。
議長の命令も、どうでも良い気がした。

ただ……



そこに、急に鳴り響く危険信号。

はっと我に返って辺りを見渡す。
敵が接近して来たのだ。

改変されたドムと思われる機体が3機、こちらに銃口を向けていた。
必死に応戦した。

…何故、戦うのか。
そんなことは分からないけれど。



やがて帰艦信号弾が宇宙(そら)を照らす。

機体も、身も心もボロボロになった俺は、その光に導かれるように、目を閉じた。






皆が居た。

俺の大事な人達。皆笑顔で。

彼らと共に生きていきたいと願った。
彼らと共に生きていけると思った。

だが…
1人、また1人、と姿が薄れて行く。
引き止めようと手を伸ばしても届かない。

やがて誰も居なくなり、俺は叫び声をあげた。






気がつくと、そこはどこかの医務室だった。
体中を包帯で巻かれ、俺は寝かされていた。

黒髪の少年が居た。
彼が俺を拾ってくれたらしい。

あの戦いから数日が経過していた。
少年は俺に情勢などを事細かに説明してくれたが、満身創痍の俺にはどうでも良かった。

ただ……
あの戦いで、議長も仲間も大切な人も、
皆、宇宙(そら)に消えていったことだけが悲しかった。


オーブの時もそうだった。
俺はまた1人生き残ってしまったのだ。


神様なんて信じていないが…
もし居たとしたら、神様とはなんて非情な人なのだろう。

いっそ彼らと共に死ねたら良かったのに…!






「行くのか。」

黒髪の少年が聞いた。
すっかり回復した俺は「ああ。」と答え、デッキに向かう。


見据える先に、碧い惑星(ほし)があった。