「アスランが?!」

カガリは、
ここが執務室であることも、自分が決して取り乱してはならない立場の人間であることも忘れて、
震える声で叫んだ。

彼女の想い人 ― アスラン・ザラ ― が命を落とした、と。
目の前の士官はそう告げた。

まさか、とカガリは思う。
彼女は信じていた…否、今でも信じているのだ。
アスランが負けるはずの無いことを。
アスランが死ぬはずの無いことを。

報告をした士官はカガリの様子に一瞬面食らうが、なんとか持ち直し、続きを事務的に告げる。

先日行われた戦い。
始めは統一連合軍が押していて、結果は明らかだった。
だが、レジスタンス側が見たこともない新型のモビルスーツを投入し、状況は一変。
味方機が次々とやられ、形勢は逆転した。
すかさずアスランがトゥルージャスティスで出撃、新型モビルスーツを応戦した。
戦いはほぼ互角だったが、僅かな隙を見て、新型のビームサーベルがジャスティスのコックピットを薙いだ。
トゥルージャスティスは爆発の炎に包まれ、アスランの死亡は確実だったという。

次々と報告される情報に、カガリは黙って聞き入った。
やはり事実なのかと落胆する一方で、いやきっと違うのだと僅かな希望にすがりつく。

カガリはあまりに動揺し、士官が執務室を退室したことにも気付かなかった。