どこかデスティニーに似た新型。
アスランは必死にトゥルージャスティスを駆った。

あの新型モビルスーツに乗っているのは、かつて共に戦った仲間だ。
シン・アスカ。
彼はレジスタンスに所属し、今は自分たちに立ち向かってきている。

「シン!何故、何故こんなことを…?!」

アスランはわけが分からなくて叫ぶ。
すると、昔から変わらない調子のシンの声が聞こえた。

「何故、だって?あんたこそ、自分のしていることがどういうことだか、ちゃんとわかってんのかよ?!」

その言葉に、アスランは歯噛みする。
自分は正しいのか、はたまた間違っているのか……アスランはこの場になっても迷う。
だが。

「お前は…メイリンを殺した。俺は…俺はメイリンの守ろうとした未来を…平和な世界を守る…!!」

パイロットスーツの下に身につけたロケットペンダント。
アスランは、その中にはまっている写真を思い出す。幸せだったはずの自分たちを。

ラクスやキラ、カガリの作る、“平和な世界”。
大切な者を戦争で失う悲しみのない、“暖かい未来”。

メイリンは命を懸けて守ろうとした。だから、自分も命を懸けて守ってみせる。
…目の前の、“世界を脅かす脅威”から。

迷う心を奮い立たせ、レバーを握る手に力をこめたとき。
シンの言葉がアスランを断罪した。

「“平和な世界”?!ルナマリアやミネルバ…皆を殺してその上に作り上げた、あのくだらない世界が?!」

…くだらない?!
その単語に一瞬カッとなるが、引っかかったのはそこではなかった。

そう。アスランは、シンにとってルナマリアの仇なのだ。
シンが、アスランにとってメイリンの仇であるのと同じように…。

なくならない迷い。
消すことのできない罪。
忘れることの無い悲しみ。
誤魔化すことのできない殺意。

…さまざまな感情が入り混じり、うねりとなってアスランを押し流す。



アスランは真っ直ぐに新型モビルスーツを睨みつけ、突進した。
まるで自分でも制御できない感情を、相手にぶつけるかのように……。